2009年8月16日日曜日

マンデラの名もなき看守

「グレゴリー君、妻には21年も触れていないんだ」
唯一マンデラが弱音を吐いた吐いた箇所が印象的だ。

囚人と看守。
その間に、弱みも見せられるくらいの絆をもたらしたもの。
アパルトヘイト政策、国民憲章、マンデラの大統領即位という流れの中で、
二人の関係性の変化を丁寧に描く。


同じように家族を大切をする気持ち、
マンデラには劣るがグレゴリー看守の正義感、人種差別を積極的に支持できない正義感が、
グレゴリー看守を動かし、マンデラに対して尊敬の念を抱かせるまでになる。

この映画を通して終始マンデラは人格者として描かれる。
彼と会った者は、ほぼ全員が彼の魅力にとらわれてしまうといっても過言ではないだろう。

人種差別を撤廃し、南アフリカ共和国に平和をもたらそうという信念と、それを阻もうとする白人による家族への危害にぐっと耐えるマンデラ。

マンデラの理念に共感し、自分の利益にとらわれている白人に反発する一方で、危険から家族を守ることができず、途中で絶望状態になるも、マンデラに救われるグレゴリー。

自分と同じく息子を交通事故で失ったグレゴリーに対して、
「ブレントに接した者全てが、彼に愛と尊敬の念を向けていたことがなぐさめになればいいが。」

グレゴリーが息子の死に加担した可能性があると知った後も、
「人にはそれぞれ仕事がある。罪悪感にさいなまれて未来に影を落としてはならない。」
と続けるマンデラのファンにならずにはいられない。